しばらくの間、ぼーっと花を見つめながら花壇のヘリに座っていると、颯ちゃんがゆっくりとした足取りでやって来た。


「あっ、先ぱ……」


颯ちゃんの表情を見て思わず言葉が引っ込んでしまった。


「ど、どうしたんですか……?」


表情はとても暗く、それでいて怒ってる。それは遠目からでもわかるほどの出で立ちだった。

何があったんだろう。また、私絡みなのだろうか。

敵意はいつも私に向けられていたから、だから颯ちゃんに何か危害が及ぶなんて事は考えてなかったけど、行為は確実にエスカレートしてきている事は間違いない。

なら、颯ちゃんに何か起きてもおかしくないというのに、なんでそんな事まで私は気が回らなかったんだろう……。


一瞬の間にたくさんの不安や恐怖な事を想像して、手のひらには冷や汗が噴き出してきた。


「先輩、何かあったんですか?」


颯ちゃんがこちらに向かってくるのを待っていられず、私の方から駆け寄った。するとーー。


「お前に聞きたい事がある」


そう颯ちゃんはそう言った。私がすぐそばに来たことを確認してから、ずっとその手に持っていたものを私の目の前に突き出しながら。



「お前が風花の妹だっていうのは、本当か」