キミと初恋。

先輩は私に背を向けて出口へと歩き出した。

それを見て、私もトイレに入ろうとしたけど、選んだ個室は使用中。

しまった、誰かいたんだ……。こんな会話の中、絶対出にくいに決まってる。

そう思ってトイレの中にいる人物にそっと謝りつつ、隣の個室が空いてる事を確認して、扉を開けた。

その時だった。


「ねぇ、あたしが青井と別れたキッカケ、教えてあげようか」


個室に入ろうとした足をピタリと止め、私は先輩がまだいる入り口へと視線を向けた。


「本人から聞き出したわけじゃないけど、多分アレのせいかなーって理由がいっこあるんだよね。あたしが青井の事を冗談混じりに颯ちゃんって言った時、アイツマジでぶちギレてて、そしたら次の日には食堂で青井の隣には別の女が座ってた」


ーーえっ? それって……。

あの時の光景が脳裏に浮かんだ。私は先輩が言うその瞬間、あの食堂で事の一部始終を見ていたから。


「あたしアンタの事好きじゃないけど、アンタの置かれてる状況も好きじゃないんだよね。だからあれ、マジであたしじゃないから。アンタが嫌がらせ受けてるっていうのは別のやつからだから」


そう言い放って、先輩は立ち去った。

私は暫く立ち止まり、そのままトイレには入らずに出て行った。

トイレに行きたかった気持ちすら引っ込んでしまうほど、色々と驚きが多すぎて……。