キミと初恋。

✳︎


“ーー今日の放課後、話がある”


そんな短いメッセージを受信した軽いはずのケータイが、ズシンと重さを増した気がした。

そのメッセージの送信元は、言うまでもなく颯ちゃんだ。

どうやって乗り切ろう。放課後は予定あるから無理です。って、そう断ろうとした矢先、颯ちゃんから再びメッセージが届いた。


“俺もバイトあるしそんなに時間取らねーから。だから逃げんなよ”



……お、脅しだ。これは脅しだ。



「かすみ。大丈夫?」


颯ちゃんには“わかりました”とだけ返事をして、ケータイから視線を剥がした。
視線を持ち上げると、私のそばにはりょうちんがいた。


「うん?」

「うん? じゃないでしょ。教科書もボロボロにされて、お昼休み先生にも呼び出されてさ。結局授業ギリギリに教室戻ってきたから話聞けなかったけど、どーだったの?」

「あー、うんその教科書の事で呼び出されてたんだけどね……そっ、先輩も来てたんだ」


危うく先輩の事を颯ちゃんって言いそうになった。危ない危ない。

りょうちんに聞かれるというより、こんな教室で颯ちゃんなんて呼び方した日には、みんなになんて言われるか分かったもんじゃない。

ひやりとした汗をかいてる私とは裏腹に、りょうちんは淡々と話を続ける。


「先輩も呼び出されてたって事?」

「多分」


りょうちんはいつになく険しい表情を崩さない。


「もうさ、先輩に言いなよ。先輩との関係を辞めてもいいんじゃん?」

「うん、いや、それは今まで散々言ってるから」


なんて、今となってはそうなりたくなくて逃げてるんだけど……。


「いや、本気で言ってんの。本気で辞めるように言いなよ。……そりゃ初めはさ、嫌がらせなんて可愛いもんだったじゃん? でも最近のは嫌がらせなんかじゃなく、これってもういじめじゃん」


私の身体は一瞬、硬直した。りょうちんの言ってる事は正しい。だからこそ、私の身体は素直に反応を示した。