キミと初恋。

「かすみ、俺ずっと思ってたけど……」

「ーーあっ!」


私はポケットからケータイを取り出した。


「ちょっと家から電話が! これって、緊急かもしれないので、私はこれで!」

「かすみ」

「じゃっ!」


颯ちゃんがまだ言い足りないんだって事は分かってる。分かってるからこそ、振り返らずにその場を立ち去った。


家から電話なんて、嘘だ。電話なんてかかってきてない。

だけど、そんな嘘をついてでも颯ちゃんの話を遮りたかった。あのまま話を聞く勇気は無かった。

きっと颯ちゃんはこう言いたかったんだと思う。


“……この関係をやめよう”


友達という偽りも。私に片想いしてるという設定も。


「ダメだなぁ……」


この関係を解消する事は、あんなに望んでいた事なのに。あんなに終わらせたいと思っていたのに。

颯ちゃんのそばにいて大変だった数日間。たった数日だったけど、とても楽しかった。

颯ちゃんと笑いあえた日々。あの時、私が颯ちゃんに初めて出会った時のような笑顔で、私の頭を撫でてきたり、私の名前を、かすみーーと呼んでくれたり。


「ほらね、欲が出てしまった」



私はずっと、こうなる事が怖かったんだ。