キミと初恋。

✴︎

「かすみ! これ見てみ!」


教室に戻ってきた私を見つけたりょうちんが、慌てた様子で手を大げさにブンブン振って手招きしてくる。

りょうちんと複数人のクラスメイトが私の机を囲んでいる様子に、なんだか嫌な予感がした。ザワつく教室内とザワつく私の心。


「なにーー」


思わず息を飲んでしまった。


「これ、食堂の近くのゴミ箱に捨てられてたみたい……」


ズタズタに切り裂かれた私の教科書やノート。それはこの間、カバンの中に閉まっておいたはずのものだった。

あの泥がカバンの中で見つかる前までにあったはずのもの達。


「ちょっと、さすがに笑えないじゃん」


そう言って。りょうちんはそっと私の肩に手を置いた。それはなぐさめるようなそんな優しい感触だった。

教室内がざわついてる中、黒板の上に設置されているスピーカーから先生の声が聞こえてきた。

ピンポンパンポン、なんていうよく聞く音の後に響いたのはこのクラスの担任の先生。


『斉藤かすみ、斉藤かすみ、今すぐに職員室まで来なさい』


呼び出しなんて初めてなのに、驚かないこの状況。なにせほかに驚く事がたくさんありすぎて……。


「よし、行ってくるか」


ふぅっ、と大きく息を吸った後、体の中に溜まってそうな毒素を吐き出すかのように、吸った時以上に大きく息を吐き出した。


「でもかすみ、大丈夫……?」


いつも私をネタにして笑ってるりょうちんが、今日はやけに気を遣ってくれている。

だから私は笑顔で返事をして、机の上にあるズタボロの教科書をかかえて、教室の入り口にあるゴミ箱にそれらを捨てた。


「これで私には勉強しなくていい理由が出来たって事だよね」


なんて言いながら、まだ心配そうな表情を向けるりょうちんに手を振って「職員室行ってくる」そう一言添えて教室を後にした。