キミと初恋。

「なかなか素直だな」

「いつもの事です」

「すぐ裏読みする癖に」

「先輩こそチャラ男のくせに」


先輩は私の頭をくしゃくしゃ撫でる。その力はいつもより強くて、ちょうど頬張っていた焼きそばパンに鼻までめり込みそうになった。


「ゲホッ、なに、するん、ですかっ……!」

「それはただの悪口だろ」

「悪口なんかじゃないです。ただの真実ですよ」


そう言い切ったかどうかのタイミングで、先輩は再び私を押しつぶすみたいに頭をくしゃくしゃ撫でた。


「うっせーっての」


怒った口調で笑う先輩が眩しくて、私は思わず顔を伏せた。

頭を撫でられてるし、ちょうどいい。本当なら払いのけたいところだけど、今だけはこのままでいようと思う。

顔が火照ってきてる。のに、心の中はどんどん冷えていく。

光が当たれば闇が生まれる。

先輩の眩しい光は、私の心に影を落とす。


ーー嘘つき。


まだあの手紙の事が頭から離れない。

あの手紙を書いたのは誰なのか。手紙には宛先は書かれていなかったし、切手も貼られていなかった。

どこかで誰かが、私のヒミツを知っている。



「また、なんかあったのか……?」



その声にハッとして、下がっていた頭を持ち上げた。

見上げた先には先輩の無表情な顔だった。

無表情なはずなのに、その真っ黒な瞳は強い何かを感じる。その強さが一体何なのかは私には分からないけれど……。