キミと初恋。

紙袋の中を覗いてみると、焼きそばパンがもうひとつとコロッケパンが2つ。

別の袋の中にはクリームパンとチョココルネがひとつずつ。あとはポテトフライが入った袋がひとつ。

私は先輩と同じく焼きそばパンを取り出した。


「いただきます」


ひと口パクリと頬張った。まだ少し暖かい焼きそばのソース味が口の中に広がり、朝食を食べ損ねてた空腹のお腹の中へと吸い込まれるように落ちていく。


「その傷、どした?」


言った後に最後のひと口だった焼きそばパンを口の中に放り込んだ先輩は、片頬をハムスターみたいに大きく膨らませながらじっと私の人差し指を見てる。


「あー……」


思わず手を背に引っ込めてしまった。

そんな行動をおかしいと悟らせないために、私は苦笑いを零しつつ、言った。


「珍しくキッチンに立ってみた結果ってやつですかね」

「ぶっ、包丁で切ったのかよ」


疑う様子もなく、先輩は笑いながら紙袋からコロッケパンを取り出した。

すんなり受け入れられて良かったと安堵する気持ちと、すんなり受け入れられてしまったという憤慨する両極端な気持ちが私の中で葛藤している。


「なら俺、かすみが作る弁当楽しみにしてるわ」


吹き抜けるそよ風に乗ってやってくるバラの甘い香り。私はその香りに酔いそうになった。

胸が焦げそうな、香り。

勘違いしそうになる先輩の優しい笑顔とともに、それは私の心をくすぐる。


「作りません。ってか作れません」


匂いをかき消すみたいに焼きそばパンを頬張ると、ソースの香りが口の中に広がった。

そんな私の様子を見て、先輩はまた、声を上げて笑っている。