キミと初恋。

一体いつ植たんだろう。
今朝? それにしては量が多い。運んで来るのは大変だったと思う。

なら先週末? 先輩は学校へ来てわざわざこんな事をしてくれたのだろうか?


「こんなに沢山のバラ、高かったんじゃないですか?」

「知らねーよ。俺が来た時にはこうなってたからな」


なんて言う先輩の手をマジマジと見つめた。それから腕を掴んでシャツの袖もまくりあげた。


「何してんだよ」


ーー先輩は嘘つきですね。


そんな言葉を零しそうになったけど、それは寸前のところでぐっと堪えた。

言うのを阻んだのは今朝の手紙。



“嘘つきは先輩の前から消えろ”



嘘つきは、どっちだ。



先輩のまくった袖を下ろして、そのまま手を離した。


「先輩……なかなか生傷絶えない手をしてるんですね」


バラを植た時に出来たんでしょ? ちゃんと軍手してやりました? そう遠回しに訴えかけたけど、先輩ってばまだしらを切り通そうとする。


「……今朝は家の手伝いさせられたからな。それより昼メシ食わねーのかよ」


そう言って花壇のへりに腰を下ろし、紙袋の中から焼きそばパンを取り出した。


「かすみはいらないんだったら、俺一人で全部食うからな」

「それは食いしん坊にもほどがあります」

「お前に言われたくねーよ」


紙袋を挟んで隣に座った私の頭をわしゃわしゃと撫で回す先輩。これじゃまるで、餌付けされてる犬みたいじゃん。