「ね?」


振り向いた先の雨宮くんは、「羨ましい」ポそりと呟いてにゅっと私の後ろから伺うようにネコさんを見つめていました。

「雨宮くん、ほら」


そっと雨宮くんからもネコさんが見えるように、体を横にずらします。

「優しく声をかけてあげて」

雨宮くんの右腕をゆっくり掴んで、ネコさんの目の前に持っていきます。


ネコさんの鼻先まで手をやって、雨宮くんはやっと口を開きました。


「こ、怖くないぞ…こい…」


………………。

あ、うん…



笑顔はぎこちなく、少しばかり残念ですが、ネコさんも警戒を解いたのか雨宮くんの手に擦り寄りました。