「真っ赤」

雨宮くんは、それだけ言うとロッカーに教科書を取りに行ってしまいました。

「…び、びっくりした…」


真っ赤って指摘した雨宮くんは、悪戯に口角が上がっていて。


私の心臓は、暴発してしまいほうなほど、早く動いて、しんどいくらいでした。

真っ赤だという顔を隠すように両手で挟みこみ、ぎゅっと目をつぶりました。


──雨宮くんって、やっぱカッコイイんだな。

今まで気にもしなかったことが目についてしまうようになりました。