「ただ、お前くらいの年の男なんてみんな馬鹿だからな。お前にそういうつもりがなくても、ああして勘違いするヤツもいるってことが言いたくてだな」



「でも、圭吾先輩は本当にそんなんじゃなくて」




「……どうして名前で呼ぶ」



「え?」




「あんな何処の馬の骨かもわからん奴を、どうして名前で呼ぶのかと聞いている」





どきどきと高鳴る鼓動が、雨宮さんに聞こてしまいそうで、恥ずかしい。




きっと私、今茹でダコみたいな顔してる。





「っ、そ、そう呼べと言われましたので、深い意味は」



「じゃあ、呼んでみろ」




「へ?」




「亜弥って、呼んでみろ」




な…!!!





そんな囁くような低音ボイスで言われた日には呼べるもんも呼べません!!




「なんだ。あいつは良くても、俺は駄目か」




「そういうわけじゃないんですけど、いや、ほら、雨宮さん下のお名前をあまり気に入ってないのかと思ってましたので、その」




「間違われるのに腹が立つだけだ。ほら、分かったら早くしろ」




早くしろって、そんな急に…!




「っ、あ」



「あ?」



「あ、ああああや、さん…っ」





「なに、聞こえない。彩羽」





なーーーー!!!!!!