え。
えええええええ!!!!
「ちょ、圭吾先輩…っ」
「どう?これで、その親戚のお兄ちゃんとやらのこと思い出してみてよ」
「そんな、急に言われましても…っ!!」
「大丈夫大丈夫。ほら、家でその人が心配して待ってるとして、彩羽ちゃんは今どうしたい?」
…心配して、待っているとして。
"こんな時間に一人で帰ってくるのは危ないだろう"
"都合が付けば迎えにくらいいく"
"でもまあ、確かに放ってはおけないな"
……あぁ、そっか。
「…先輩、私…」
今、なんとなく分かったような気がします。
そう言おうとしたけれど、後ろから再び誰かに手を引かれ、それは言えず終いで。
「……お前が先輩か」
ぽすん、と背中が心地いい温もりに包まれたかと思えば、直に伝わってくる心臓の音。
私より何倍もいい匂いを纏った、柔軟剤の香り。
「雨宮、さん」


