「まぁ、恋愛未経験ならしょうがないよね」




「すいません………」




練習後。




やっぱり私は今日も全然ダメで。




帰り道は再び反省会をしながら圭吾先輩と肩を並べていた。



「未亡人ってところがまた難しいから無理もないんだけどさ、もっとこう、元旦那と新しい男との間で揺れる気持ちを表現してほしいって言うか」




「はい…」




「だから例えば俺が彩羽ちゃんを好きだとしてさ」



「!?」




「ちょっと、そんな純粋な反応されるとこっちまで釣られるんですけど」




「あ、いや、すみません!!」





あまりにも普通に出てきた言葉に思わず顔を赤くした私。




いかんいかん。




せっかく圭吾先輩がアドバイスしてくれようとしてるのに、これじゃあ話が進まない。





「すみません、もう大丈夫ですので!」



「そう?じゃ、遠慮なく」




「へ…」





ぐいっと引かれた腕。




そのまますっぽりと圭吾先輩の胸に収まる、私。