教室を出て、ひとり廊下を歩く。




お昼休み中ということもあり、どこもかしこも賑やかで少しだけ気が紛れるような気がした、けど。




"やっぱりあなた、綾のこと好きでしょう"




「〜〜〜っ!」




わかんない。わかんない。





ふと睦月さんの言葉を思い出して、頭を抱える。




好きって、なにを?




雨宮さんを?私が?





そんなの分かんない。




まだ一緒に暮らし初めて1ヶ月たってないし、好きとか嫌いとか、そんなにすぐ分かっちゃうもんなの?




一目惚れならまだしも、そんなんじゃないし。




突然そんな事言われても、自分で自分が分からないから答えの出しようがない。





第一好きだったとして、それからどうするの?




たった数ヶ月だけの同居で不毛な恋をして、その後は?




また元の生活に戻って、その時わたしはどうしたらいいのか、とか。




考え出したら止まらなくて、いつの間にか早足になっていた私。




「う、わ!」



「きゃっ」




保健室はもうすぐそこで、最後に角を曲がろうとした時、反対側からきた誰かと真正面からぶつかってしまった。