分かる。雨宮さん、怒ってる。




この共同生活が始まってなんだかんだでもう1ヶ月以上の時間が経っていて。




それだけ同じ時間一緒にいれば、相手がどんな顔、どんな声色で怒るかくらい知ってる。




だからきっと雨宮さんだって分かってるよね?




私が泣きそうなことくらい、分かってるよね。





「おい…」




「雨宮くーん!次2人で撮るよー!!」




「雨宮さんはーやーくー!」




まさか泣かれると思っていなかったのか、少し動揺したような雨宮さんの声を遮るみたいにカメラマンさんと柏木くんの声が被さって。




「チッ、クソが。聞いてないぞ」




ガシガシと頭をかきながら再びカメラの前へと戻る雨宮さんの背中は大きくて広くて、眩しくて、振り返ることなんてない。




まさか私がその背中に抱きついてしまいたいと考えてるなんて、きっと雨宮さんは思ってもみないんだろうなぁ。




だから悲しいんだよ、雨宮さん。





子供扱いされる度に対象外だと言われてるような気がして。




ううん。気がするんじゃなくて本当にそうで。




放っておけないと言われるのは嬉しいのに、それが保護者としてだと知るたびに落ち込むんだよ。