「っわ」
視線をずらせば、視界に飛び込んでくるのは撮影中の雨宮さん。
いつの間にかカッターシャツのボタンを外して胸板を露にしているその姿に、しまったと顔を覆う。
雨宮さん、あんなに細いのに腹筋バキバキだし……!!
次々にポーズを決めていく雨宮さんの色気は普段の5割増。
私には刺激が強すぎる…っ
「ねぇ」
「えっ」
「きみ、どこの事務所?」
火照った頬を冷やすためお手洗いに逃げようと席を立ったはずなのに、ぐいっと手首を掴まれてそのまますとん、と再び椅子に腰掛けてしまった。
「えっと、あの……?」
「睦月さんならさっき電話しながら出てったよ」
びっくりして手を引いた相手を確認すると、ついさっきまで睦月さんが座っていたはずの椅子に腰掛ける見ず知らずの男の子と目が合う。
ぱっちり二重のアーモンドアイに、無造作にセットされたミルクティー色の髪。
雨宮さんとはまたジャンルの違ったイケメンが突然現れて、私の頭の中は?マークでいっぱいだ。


