雨宮さんの一言一句を冗談だとかわす余裕のない私は、きっとからかいがある子供。




睦月さんはちゃんと大人だから、そんなことをしなくても中身のある面白い話ができたりするんだよ。




そういう対等か、そうでないかの違い。





「…仮に遊ばれてるとして、素直に喜べないわけ?」




「え?」




「あんたの行動ひとつで相手が笑顔になるって、すごく特別なことだと思うんだけど」




私で、雨宮さんが笑顔になる。




まるでイタズラに成功した子供のように声を上げて、笑う。




…あぁ、確かに。




それって本当に特別なことだ。




テレビの中の存在だった雨宮さんが目の前にいて、私と言葉を交わして、顔を綻ばせる。





時間が経つにつれて当たり前が増えていく生活に、いい意味でも悪い意味でも慣れすぎていたのかな。