「随分仲良くなったのね、綾と」
「お、お陰様で…」
「いい迷惑よ、本当に」
そうだよね。
睦月さんは雨宮さんが好きなんだもん。いい気はしない、よね。
「…すみません」
「別に。生憎、高校生に謝られるほど焦ってないから」
ふ、と余裕の笑みを浮かべる睦月さんはやっぱり今日も綺麗で、どう考えても焦るのは私の方。
「でも、すごいんじゃない」
「え?」
「私、こんな短期間でここまで距離詰められなかった」
「まあ、一応一緒に住んでるので多少は」
「それでも、よ」
雨宮さんのスケジュール管理か、鞄から書類を取り出して分厚い手帳と向き合う睦月さん。
「私の前じゃ、今でもあんな風に笑わない。あんな顔できるなんて知らなかった」
「…ただ遊ばれてるだけですよ」


