「なあユッキー、体育祭の実行委員引き受けたって本当かよ?」

「ああ、そうだよ」

「押し付けられそうになってた女の子が困ってたから、代わってあげたんだよねー」

「本当、お人好しだなぁ」

「いやいや、普通にやりたかっただけだって」




同じ車両の、斜め前くらいに立って喋っている男女5人組。

その真ん中で笑っているのが、ユッキー。



体育祭の実行委員に、なったんだ。

困ってた女の子を、助けてあげたんだ。


こんな風に、遠くから聞こえてくる会話でしかあなたのことを知らないけど。



喋らなくても優しい人だってことが伝わって来て、白い歯をニッと見せて笑うところが眩しくて。




あなたのことを少し知るたびに、また少し「好き」が積もって。


「好き」が積もれば積もるほど、私の心も圧迫されて苦しくなる。


もうすぐ溢れてしまいそうなくらいに積もったそれを、あなたに伝える勇気がないんです。