それからどのくらいだったのだろう
「あなた、大丈夫?」
「あぁ、」
妻は昔のことを思い出していた
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雪降る深い森の中
ある一羽の綺麗な鶴が罠にかかっていた
そこに若い男が来た
鶴は覚悟した、これから死ぬのだ、と
しかし、男は
『おぉ、こんなところに鶴が!可哀想に。今外してやるからな』
そう言って鶴の罠を外してやった。
罠が外れた鶴は大空へ飛び立った。
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「綺麗な手だ…」
そう言い、機織りでボロボロになった妻の手にその大きな手を重ねた
しかし、その重ねられた手は死人のように冷たくなり始めていた
妻は涙を隠すように
「あなたは、私の綺麗な手が無くなっても私を愛していただけますか?」
「当たり前だよ。俺にはお前ただ1人だ。」
夫が眠ると妻はまた部屋にこもり機織を織り始めた