「潮月先生おはよう! 今日めっちゃ寒いね。なかなか布団から出られなくて、遅刻するかと思ったわ~」

「そうね、昨日の雨のせいかな。今日はあまり気温が上がらないみたい」

「えー、そうなの? やだなぁ、とうとう大嫌いな冬が来たか」

 心底嫌そうな顔をする鈴木先生に、ついクスクスと笑みがこぼれる。南国生まれの彼女は相当な寒がりで、冬場は教室の中にいてもカイロが手放せないほどらしい。

「冬場の外遊びとか、ほんと最悪」

「子どもは寒くても平気なのにね」


 動きやすいジャージとトレーナーに着替え、エプロンを身に着ける。二人でとりとめのない話をしながら通勤服とコートをハンガーに掛けていると、「あれ?」と鈴木先生が首を傾げた。

「潮月先生のコート、元に戻ってる。新しいのはどうしたの?」

「あー、実は……」