「セール始まっちゃう!」
そう叫んでかばんをわしづかみ、近所のスーパーへ走った。

ヤバイ!あれを逃せばもう買えない!

4時前になんとかスーパーに駆け込み、セールを逃すことは無かった。目当ての物を手に取り、時音は安堵の表情を浮かべた。時音はその他の買い物も済ませ家に帰り、ご飯の準備を始めた。
「ただいま〜!」
お父さんが帰ってくる頃には、もう机の上に出来たものを並べ終えていた。
「おかえりなさい。もうご飯出来てるから。」
「今日は、シチューかぁー。うまそうだな!」
いくら警戒せずに接する事が多くなったとはいえ、時音はお父さんに冷たく言ってしまう。
「うまいぞ!時音!腕上げたなぁ!」
いつの間にか美味しそうに頬張るお父さんを見て、時音も少しずつ食べ始めた。
もちろん、その後の会話は全くない。
シチューを食べ終え、時音はセールで買ってきた“もの”を可愛らしく器に盛りつけお父さんの前に出した。
お父さんは一瞬固まったがすぐに顔をほころばせた。
「ケーキか。いつぶりだろう?ありがとう。」