この日は、雲一つない晴天だった。

太陽の眩しい光が降り注ぐ教室の中で小刻みに唇を震わせるセイラ。

そのあまりの美しさに目を奪われる。

天国にいる天使はきっとセイラのような容姿をしているに違いない。

バカみたいなその想像はセイラの言葉によってかき消される。

「やっぱりフラれちゃった」

必死に涙をこらえて微笑むセイラ。

「そっか……」

「清水君ね、好きな人がいるんだって」

「うん……」

ハルトの好きな人。それはあたしだ。

「しょうがないの。告白したときにもね、清水君には好きな人がいるんじゃないかなってなんとなく分かってて。それでもいいと思ったし、付き合ってから私のことを知ってもらいたいって無理を言って付き合ってもらったの」

「そうなの?」

「うん……。私、清水君のことが大好きだったから。だから、ほんの少しの間だったかもしれないけど清水君の彼女になれて幸せだった」

セイラの言葉は嘘や偽りなど一切ないように思えた。

一方的にフラれたのにハルトを責めたりすることもない。

少しの間でもハルトの彼女になれたことを心の底から喜んでいるようにも思える。