あたかもセイラを心配する様な表情を浮かべている自分に嫌気が差す。

でもそれ以上に背筋がゾクゾクする。

背徳感に快感を覚え始めていた。

親友のセイラを裏切り、その彼氏であるハルトと秘密でデートをする。

あたしは全て知っているのに、セイラは何も知らない。

すべてはあたしの思うがまま。セイラはあたしの手のひらで転がされるだけ。

「やっぱり清水君……私と付き合ったこと後悔してるのかな……」

「そんなはずないよ!!また遊ぶ約束すればいいじゃん!」

「うん……そうだね……」

「ほらほら、元気出して!」

セイラの肩をポンポンっと叩きながら微笑む。

「ありがとう、真子」

何も知らないセイラはほんの少しだけ目を潤ませてお礼を言った。