「あの……ハルトと……元カノの話を聞きたくて」

「なんでそんなこと聞きたいわけ?お前、ハルトのことが嫌いなんだろ?この間教室でいってたじゃん」

「林君も……聞いてたんだ?」

「聞いてたっていうか、聞こえた。つーか、いくらなんでもあんなでかい声で嫌いとかいうのってひどくね?」

林君がなぜ怒っているのかすぐに悟った。

「あれは……ハルトが先に……」

「くだらない話してんなって言ったから?」

林君の言葉に静かにうなづく。

林君は大きなため息と一緒に押し殺したような声を吐き出した。

「バカだな、お前。自分の好きな女が違う男に告られたって話を聞いたら嫌な気持ちになるだろ。もしかしたら取られるかもって不安になったりするし。ハルトだってそうだろ。お前があれこれ聞かれてそれに耐えられなくてああやっていったんじゃねぇの?」

「っ……」

「それにさ、告ってきた男のことあんなふうに言うことなくね?」

『あんな最低最悪な男と付き合うはずもないし、あんな奴にファンがいること自体が信じられない!!』

確かにあたしはあの時、隣のクラスの男の子のことを悪く言った。

でも、彼に告られたわけではない。彼はセイラが好きなんだ。