「――なんで!?どうしてセイラなの!?」

家に帰ると持っていた学生鞄を床に叩き付けた。

怒りと悲しみは時間の経過とともに徐々に増していく。

放課後セイラにどこかへ寄り道してから帰ろうと誘われたけれど、とてもそんな気にはなれなかった。

本来ならば親友に初彼氏ができたら一緒に喜んでお祝いしてあげるだろう。

セイラに彼氏ができて喜ばないといけないって分かってる。

でも、それを心が拒否する。

ハルトじゃなければ。

もしもその相手がハルトではなければあたしだってちゃんとお祝いしてあげられた。

心からの祝福を込めて。

でも、違う。ハルトだ。

セイラの彼氏はハルト。あたしの大好きなハルト。

「どうして……？どうして二人が……」

セイラとハルトはそれほど親しかったとは思えない。

あたしとハルトが二人で話しているときに、セイラが加わることもあったけれど。

まさか……あの映画を観に行った時に親しくなった……？

そもそもハルトと二人で行くはずだった映画にセイラが割り込んできたせい？

そうなの？もしそうだとしたら――。