「お前って、バカみたいに友達想いだよな」

「それって褒めてるの?けなしてるの?」

「褒めてるに決まってんだろ」

「本当に?」

「あぁ。真子のそういうとこ、いいと思う」

ハルトがニッと白い歯をのぞかせて笑いかけたと同時に、休み時間の終わりを告げるチャイムが教室中に響き渡った。

立ち上がってポンポンっとあたしの頭を叩いて「じゃあな」と自分の席に帰っていくハルトの顔を見られない。

ほんの少しうつむいたままうなずくのが精いっぱい。

あたし、本当にバカだ。

頬がジンジンと熱を帯びて赤くなっているのが手に取るようにわかる。

――真子のそういうとこ、いいと思う。

そんなハルトの何気ない言葉にすら胸をときめかせてしまうなんて。

赤くなった頬に手を当てて、違う列に座るハルトの背中を見つめる。

ハルト、好きだよ。

あたしは心の中でそう呟いた。