「まぁ、いいや。じゃあ、あたしもう行くね!真子も早く帰った方がいいよ?雷すごいし」

ボタボタと大きな音を立てていた雨がザーザー振りに変わる。

「蘭」

「えっ?」

真子に呼ばれて首を傾げた瞬間、ものすごい稲光と同時に近くに雷が落ちた。

「やばっ、雷すごいし!じゃ、またね!」

真子から逃げるように駆け出す。

「……やばっ、アイツ。頭おかしくなっちゃってる」


数メートル走ってから振り返ってみるとまだそこには真子がいた。

土砂降りの雨の中、真子は笑っていた。




「あたし、リカ」



真子の放った不気味なその名前が脳裏に焼き付いて離れなかった。


            

                      【END】