あれから、一か月後。

両親二人を刺殺し、マンションから飛び降り自殺をしたセイラのことは新聞やテレビでセンセーショナルに取り上げられた。

【両親を刺殺後、飛び降り自殺!部屋には血まみれの親友Aがいた……!】

週刊誌に面白おかしく書かれていた親友Aは名前こそ出てはいないものの真子で間違いないだろう。

どうして真子が部屋にいたのかはわからない。

でも、あの事件のおかげであたしは一番欲しかったものを手に入れることができた。


そう。ずっと。中学時代からずっと手に入れたかったあの人。

どんな手を使ってでも欲しかった。

初めて入ったハルト君の部屋。

ベッドに腰かけてうつろな表情を浮かべるハルト君の背中をさする。

「大丈夫だよ、ハルト君。あの事件はハルト君のせいで起こったわけじゃないでしょ~?」

憔悴しきっているハルト君をあたしは必死に励ました。

弱っている人間はすがりつけるものを求めている。

あたしはそれを大いに利用させてもらうことにした。