「セイラの両親が離婚……?」

「うん。元々仲が悪かったんだってね。だから、うちみたいな家庭に憧れるって。たくさんの兄弟がいる真子が羨ましかったって、いつもうちに来ると言ってた」

「ちょっ、ちょっと待って!セイラがうちにきてそんなこと言ってたことあった?」

驚きに涙が止まる。


「セイラちゃん、何度もうちに来てるの。真子に内緒にしててほしいって言われてたんだけど」

セイラが……あたしのいないときにうちにきた……?

「セイラちゃんには感謝してもしきれないよ。お父さんが仕事探してるのを知って、条件のいい会社を数社紹介してくれてね。『コネだと嫌だと思うので、あとはお父さんの頑張り次第です』って。昨日、正式に一か所正規雇用でって話をもらえたところ」

「嘘でしょ……」

「お母さんのパート先も決まったんだよ!ここから徒歩で行けるの。オープニングスタッフの募集をセイラちゃんが調べて教えてくれて。しかもね、そこのパート先、病児保育もしてくれるから子供たちが具合が悪くなっても保育園を休まずに済むの」

母は嬉しそうに微えむ。