思わずロッカーの前にいるセイラとハルトに視線を向ける。

楽しそうにしゃべっている二人。

そのとき、あたしの視線に気づいたのかセイラが視線をハルトからあたしにスライドさせた。

目があった。

とそのとき、セイラは挑戦的な笑みを浮かべた。

その笑みに心臓がドクンッと不快な音を立てて震える。

セイラはハルトの顔の前でクイクイっと手招きする。

腰をかがめてセイラの口元に耳を寄せるハルト。

手を添えて何かを囁くセイラ。


唇が震えた。なによ。あれ。どういうつもり？

ハルトはセイラを見つめてニッと笑うと、セイラとともに教室を後にする。

あたしはただ茫然と二人の姿を目で追うことしかできなかった。