――あの日から、セイラは変わった。

それはまるで今までのあたしのセイラへの行いへの仕返しのようだった。

「もう、ハルト君ってば!」

教室の後方にあるロッカーの前でハルトとセイラが言葉を交わしている。

『清水君』と呼んでいたはずなのに、いつのまにか『ハルト君』という呼び方になっていた。


時々、セイラはわざとらしく高い声を出してハルトの気を引き、ボディタッチを繰り返す。

あたしの白々しい目とは対照的に、ハルトはだらしなく顔を緩ませている。

ハルトと別れてから2週間。クラス内でもあたし達が別れたという噂はあっという間に広がった。

クラス公認のカップルのような存在だったあたし達にどうやって接したらいいのかクラスメイト達は困っていたみたいだけど、セイラだけは違った。

今のようにあたしに見せつけるようにハルトといちゃつく。

ムカつく。怒りと憎しみが交じり合って真っ黒い感情に支配される。

あたしとハルトとの仲を切り裂いたのはセイラのくせに、怜音先輩との関係は継続し続けているなんて。