「それにしても、真子の怖がり方異常すぎんだろー」

そろって歩きながらさっき観た映画の話で盛り上がる。

「だってさぁ、突然大きな音と同時にお化けが出てくるのって反則でしょ~?」

「いや、そろそろ出てくるってなんとなくわかるもんだから」

「分かんないよ!」

「分かるって。神条なんて微動だにしてなかったからな。その横で真子がすげぇ挙動不審な動きしててマジで笑えた」

「もー!あたしのことなんて見てないで映画に集中してもらえます!?」

「ははっ、確かにな」

ふざけて放った言葉を否定しないハルト。

――お前のことなんて見てないから。

そう言ってくれればいいのに。

ハルトの言動に一喜一憂してバカみたい。

でも、ハルトのことがこんなに好きなのに、それをどう表現したらいいのか分からない。

「――ねぇ、ハルト」

「ん?」

「どうして……あたしのこと……映画に誘ってくれたの?」

ハルトに視線を向ける。

ハルトはあたしと目が合うと、すぐに視線を外して困ったように頭をかいた。