「えっ……」

教室に入ってきた瞬間、セイラはすぐに自分の席の異変に気が付いた。

机の上には花瓶が置かれ、椅子は水浸し。

セイラは顔を強張らせながらロッカーから取り出した雑巾で必死に椅子を拭いている。

その様子を見てコソコソと友達同士何かを囁き合っているクラスメイト達。

それに気付いたセイラの表情がますます曇っていく。

あたしと蘭はその様子を教室の隅で涼しい顔で眺めていた。

「真子~、本当にこれでよかったわけ~?セイラ滅茶苦茶困ってるじゃん」

「いいの。セイラなんてもう親友でもなんでもないし」

「ふーん。真子がいいなら、いっか。じゃ、遠慮なく~」

蘭はにやりと笑うと、セイラの席に歩み寄った。

一言二言何かをセイラに伝えると、蘭は躊躇なく花瓶を手に取って入っていた水をセイラの体にぶちまけた。