今からセイラの言おうとしていることが手に取るようにわかる。

「うん。なに?」

平然を装っているのにほんの少しだけ声が上ずる。

「あのね……私……怜音先輩の告白受けようと思うの」

やっぱり。心の中でチッと舌打ちをする。

「でも今さらじゃない?先輩から告白されてから結構時間も経ってるでしょ?先輩も気が変わってるかもよ?」

「あっ……うん。でも、先輩言ってくれたの。一か月でも二か月でもよく考えてから返事が欲しいって」

「そんな先輩の言葉真に受けてんの?」

呆れたように苦笑いを浮かべたあたしにセイラは大きくうなずく。

「本当はね、先輩のこと何も知らないし付き合うなんて考えられないって思ってたの。でも、この一か月で色々考えて……付き合ってからたくさん先輩のこと知っていって好きになれたらってそう思ったの」

「へぇ……」

「告白されてからね、こっそり先輩のこと見たりしたんだけど……心の優しい人だっていうことは分かったの。だから――」

「――あのさ、釘差すようで悪いけど、先輩女好きだよ?」

セイラの言葉を遮るように放った自分の言葉は氷のように冷たかった。