「いよいよだな、臣」 「あぁ、絶対に勝ってみせる」 もちろん、それは臣先輩も同じ。 「先輩、頑張ってくださいね!」 「ありがとう、美奈」 エールを送れば、先輩は笑顔で返してくれた。 それが嬉しいはずなのに、苦しくなるのはいつものこと。 そしてそれに追い打ちをかけるかのように。 「臣くんっ!」 先輩の名前を呼ぶ、甘い声が聞こえた。 「あ、琴音」 「……ッ、」 先輩の口から紡がれる、その人の名前。