あたしは親だけじゃなく、
家をも失った。
そして、名前も
京極 咲子という名前さえも
失ってしまった。

咲くことない枯れたはずなのに
まだ美しくいようと
征人に会った時に
美しいあたしでいたいと
もがく姿は

枯れる寸前まで
美しい紅葉のようだ。

だから、いつの日か、
紅葉とよばれるようになっていた。