「咲子!」 あたしの名を 何度も呼ぶ声に 思わず反応してしまった。 「征人…さ…ま……」 帝の前だから 敬称をつけるだけの 頭の整理は出来ているのに 出来てないのだ。 自分が誰の名を呼んだのか 分からない 何をつぶやいたのかも 分からない ただ愛しきあなたが あたしの名を 呼んでいる それは事実で