「こんなの大人になっても使わないよー」と悠陽ちゃんと勉強している時に嘆いていたら、「それは苦手な人がみんな言うことよ」なんて言われてしまった。
「キミがお願いしてくれたら教えてあげる」
な、なにそれっ!
私が頼んだわけじゃないのに、なんでそんなに偉そうなのよ。
……とは言えず、だからと言って頼むのも私のプライドが許さなくて、とりあえず黙り込んでしまう。
「ふーん、ならいいんだ。このままならキミは卒業までずっと成宮の雑用係だね」
そう言って、結城くんは立ち上がった。
え、待ってよ。
それだけは嫌。
最初は冗談かと思ったけれど、そんなことはなく、自分のカバンを持ってドアへと歩いていく。
本当に帰っちゃうの?
表向きは優しい王子様だけど、素は真逆。
そうだ、結城くんは自己中で意地悪な人だった。
「いいよ……そんな私だって結城くんの力借りなくてもなんとかなるよ」
自分で言っておきながら、なんて説得力こない言葉だと思う。
「うん、じゃあ僕は帰るね。せいぜい頑張って」
あ、行っちゃう……
なんでだろう。
あんなに嫌な奴なのに、いざいなくなると思うと胸が痛い。



