昼休み。
何度も悠陽ちゃんに感謝を伝えながら、お母さんの手作り弁当を広げて食べる。
悠陽ちゃんは「いいのよ」なんて言いながらも、「いい加減、学習しなさい」と怒られてしまった。
たわいない話をしながらお弁当を食べる昼休みは、あっという間に終わってしまう。
遂にやってきた5時限目。
成宮先生の数学の授業。
「起立、お願いします」
ガラリと戸を開けて教室に入ってくる成宮先生のタイミングに合わせて、学級委員長が号令をかける。
「はい、お願いします」
先生はにっこりと微笑んで、私の方を見ていた。
「……うっ」
そんな視線を受けて、ゾワッと背筋に寒気が走る。
で、でも、悠陽ちゃんに教えてもらったんだから大丈夫。
「課題のプリントを後ろからまわせ」
そう言う先生の指示に従い、課題プリントを前の子へとまわした。
大丈夫。きっと大丈夫。
私はお返しをするかのように、にこりと成宮先生に微笑み返した。
それを確認したのか、先生は授業を開始した。



