「本当にバカなんだね、キミ」
「……うるさいっ」
その日の放課後、成宮先生は私の特訓用にと空き教室を用意してくれて、今は結城くんとふたりきりで勉強中だ。
本当に、ありがた迷惑。
なんでよりによって結城くんなの!?
成宮先生のせいで、王子ファンの子たちからは嫉妬の目を向けられるし、悠陽ちゃんにはニヤニヤと笑われるし、大和くんは悠陽ちゃんの味方のようで助けてくれないし……
もう散々だ。
おまけに、勉強会が始まってから結城くんには、「バカバカ」と言われ続けている。
「そんなこともわからないの?脳みそある?」
結城くんにとっては、これはとても簡単な問題のようで、とことんバカにされる。
「そんなに私はバカじゃないです」
「じゃあ、なんで始めてから1問も解けてないの?」
「そ、それは……」
1問も解けていないのは事実で、解き方がわからないのだ。
確か悠陽ちゃんも教えてくれたはずなのに……



