時間は4時間目。



これを乗り越えればお昼休みだ。



席は最悪だとはいえ、休み時間は悠陽ちゃんと席が近いからすぐに話せるし、隣の大和くんは気さくに話してくれるし、有意義に過ごせていた。



その休み時間の度に、結城くんの席の周りに王子ファンの女の子たちが集まるのは鬱陶しかったけれど。



ただ問題は今、現在。



なんてったって、教科は子守唄の数学だ。



……眠たい。



この当たり前のごとくやってくる睡魔を何とかしたいものの、やっぱりどうにもならなくて、ところどころ記憶が飛んでいる。



今日はまだ、目をつけられていないみたいだけど、これも時間の問題かも。



「……っ!?」



瞼がまた閉じ始め、また夢の中に入ろうとした時。



チクンっと頭皮に走る痛み。



髪の毛を引っ張られた感覚だ。



前の席の子はもちろん無理。



隣の大和くんは、真面目にしっかり前を向いて授業を聞いているから違う。



そうして削っていくと、思い当たるのはただ一つ。



犯人は後ろにいる結城くんしかいない。