そう、仲良くなんてはしていない。
「……っ」
顔を上げると、不意にぶつかる視線。
結城くんからだ。
その目は、「余計なことは話すな」というメッセージだろうか。
本当に私、監視下に置かれてるみたい。
第一、結城くんのことをみんなに話しても信じないと思うけど。
表向きは、かっこよくて優しくて人気者の王子様なんだから。
「その、昨日先生に頼まれて雑用してたでしょ?その帰りにね、たまたま結城くんに会って少し話しただけ」
うん、嘘はついてない。
重要なことは省いて、ざっくりと昨日の出来事を悠陽ちゃんに伝えた。
「ふぅ〜ん」
悠陽ちゃんは、納得していないようだったけれど、先生が入ってきたことで、この件については打ち切りとなった。
悠陽ちゃんは結構鋭いから、なんでも見透かされてしまう。
私がわかりやすいだけなのかもしれないけれど……
ひとまず何とかなっただろうか。
秘密ができちゃってごめんね、悠陽ちゃん。
後が怖くて、これだけはまだ話せないんだ。



