私の前にいた悠陽ちゃんに食い気味に聞かれたのは、そのすぐ後のこと。
「ちょっと茉莉!いつから王子と仲良くなったわけ!?」
両手で肩をがっしり掴まれて、激しく揺らされる身体。
「ま、待って悠陽ちゃ……はな、話せない、からっ」
「あ、ごめん、茉莉。つい……」
テヘッと笑う悠陽ちゃんは反省しているのやらしていないのやら。
しかし、悠陽ちゃんが驚くのも無理はない。
あんなに嫌いだと言っていた結城くんと、会話こそ交わしてないものの、挨拶なんて初めてで、想像もしていないことだったから。
それに、女の子と絡んでいる結城くんだが、結城くん自身から女の子に話しかけている姿は滅多に見たことがない。
話しかけていることと言えば、本当に必要な業務連絡のようなもの。
「それで、どうなのよ!」
ダンっとまるで壁ドンかのような音を立てて、机に手を置く悠陽ちゃん。
まわりは結城くんに夢中だから、誰も見向きもしなかったけど、かなり大きい音がしたよ?
それだけ、気になってしょうがないのか、私の顔を覗き込んでくる。
「あの、その……仲良くはなってないよ」



