「大和のやつ……いつも、お人好しなんだよ」
長い付き合いの結城くんと大和くん。
大和くんのことだから、やりかねないとでも思ったんだろうか。
お人好しなんて言ったけど、結城くんが怒っている様子はない。
きっとどこかで、大和くんの優しさを感じているんだろうか。
そうだといいなと心の中で思う。
「それで、僕に何を言いに来たの?さようならとか?」
口調はいつもと同じ結城くん。
だけど、結城くんは気づいてる?
さっきから、少しだけ声が震えてること。
「……何も無いなら、僕帰るから」
「そうやって逃げるんだ」
「はぁ?」
強がるキミ。
私と一緒だね。
悠陽ちゃんも私のこと、こんなふうに見えてたのかな?
今の結城くんは、平気な顔して泣いてるよ。
「キミには関係ないでしょ?放っておいてよ」
それならさ……
放っておいて欲しいなら。
「……そんな、悲しい顔しないでよ!」
飼い主を待っている子犬みたいな、そんな悲しそうな顔して、私のことを見ないでよ。



