「……久しぶりだね、結城くん」
何から話したらいいか分からなくて、とりあえずありきたりの挨拶をする。
「あぁ、そうだね」
あぁ、話が続かない。
今までどんなふうに結城くんと話してたっけ……?
そう思って、そういえばいつも声をかけてきていたのは結城くんからだったと思い出す。
今日くらいは私から……
そう思ったのに
「突然どうしたの。もう、中庭には来なくてもいいって言ったよね?」
今日もキミからだった。
「あの……」
せっかくいいタイミングなのに、なかなか話を切り出せない。
でも、私が頼まれたんだ。
必死にお願いと頭を下げていた大和くんの姿を思い出す。
「結城くん、大丈夫?」
「なんの話?」
そうやってはぐらかす結城くんは、私の目を見ようとはしない。
結城くんの横顔から見えるその目は、どこか遠くを見つめている。
「……全部、聞いたの。大和くんから」
そこまで言って、やっと結城くんは反応する。
驚いて私のことを凝視してから、納得したように前に向き直った。



