「私……行ってくる」
「玲央は中庭だよ」
「ありがとう、大和くん。悠陽ちゃんも、気づかせてくれてありがとう」
私の思いをすべて伝えると、大和くんと悠陽ちゃんは優しい顔で頷いてくれた。
「行っておいで、茉莉。応援してるから」
「茉莉ちゃん。玲央をお願い」
「うん、わかった」
私は大きく頷いて。
固い決意が逃げてしまわないように、拳を固く結んで、走った。
不安で押し潰されそうになっているという結城くん。
そんな結城くんになんて声を掛けたらいいかなんてわからない。
でも……
とにかく、早く。
早くキミの元へ行きたくて。
校庭へ向かう生徒とは反対に、ひたすら走る。
私たちが出会った中庭に着く頃には、周りに人はもう誰もいなかった。
すっかり日も落ちて、星が綺麗に輝くほど紺色に染まった夜空の下。
月明かりに照らされながら、深緑色に染まる芝の上に寝転ぶキミがいた。



