すると結城くんは、私の耳に近づいて呟いた。 「大嫌いなんて言ったら、校内中の女子敵にまわすことになるよ?」 そこまで言われて、やっと口が解放される。 「なっ、なっ……!」 ずっと塞がれていた分、呼吸が荒くなってしまう。 言い返したいのに、言い返せない。 呼吸が整わないのもそうだけど、結城くんの言うことはごもっともだから。 みんなの憧れの結城くんの仮であっても彼女の私がそんなことを言えば、睨まれること間違いなし。 「……はぁ」 私は盛大にため息をついた。