「失礼します」



両手に抱えたプリントを持ちながらドアを開けるのは、至難の技だ。



何とか開けて職員室の中へ入り、成宮先生を探す。



「おー、須藤!終わったか〜」



何を呑気な……



成宮先生ときたら、優雅にコーヒーなんかいれて、くつろいでいる。



先生という仕事は、朝早くから夜遅くまで大変なんだろうということはわかるが、雑用を頼まれて1人で頑張っていたさっきまでの私を思い出すと、なんだかムカついてくる。



「全部終わらせましたよ」



「ありがとな、助かった」



私から重いプリントを受け取って、笑顔を向けながらお礼を言う先生。



先生が好かれる理由はこの笑顔にあるかもしれない……とそう思った。



「お前にしちゃあ、早いほうだな。今日は俺、帰れないかと思ってたよ」



この余計な一言がなければ。