「立てる?」
「……うん」
結城くんに支えてもらいながら、図書室を出た。
「……茉莉っ!」
「悠陽ちゃんっ」
教室に戻ると、ちょうど昼休みで私の姿を見つけるなり、悠陽ちゃんが私の元へと飛んできた。
「ごめん、ごめんね茉莉。私がついて行ってあげてれば……」
私のことを強く抱きしめながら、悠陽ちゃんは泣いていた。
それにつられて、私も止まっていたはずの涙が零れる。
悠陽ちゃんは何にも悪くないんだよ。
迷惑をかけたくなくて……
心配をかけたくなくて、言わなかったの。
でも、結果的に心配かけちゃったよね……ごめんね、悠陽ちゃん。
悠陽ちゃんは悪くないと、全力で私は首を横に振った。
「ごめんね、悠陽ちゃん。ごめんね」
私たちは抱き合いながら、教室にいることも忘れて、わんわん泣いた。
「宮野さん、須藤さんのことお願いしてもいい?」
「うん」
悠陽ちゃんは、私の背中に腕を回したまま頷いた。
それから結城くんは1人で教室を出ていってしまった。



